twitter夢垢(@szk_ym)にて呟き溜めたSS集。多少の加筆修正済です。
2013.2.20-2013.7.7
時系列に並んでいます。上に行くほど新しい。
直で飛びたい方は下のリンクからどうぞ。
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墓の場所も知らない /
事後 : ジャーファル
あいくるしい : アリババ
ことばがたりない /
わがままな純情に爪をたてる : 白龍
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ことばがたりない
白龍:2013.6.11
title:確かに恋だった
*学パロ
やはり行き慣れないところは居心地が悪い。似たようなつくりでも、なんだか違う雰囲気に圧倒される。無駄にキョロキョロする俺を女子のグループが怪訝そうに見ていた。早く用事を済ませなければ。
「何か用?」
姉上の教室を覗いた時だった。背後から急に声をかけられ驚いたのもあるが、一瞬で声の主が分かってしまい動揺したのが一番だ。振り向くと予想通りだった。
「あ、白瑛の弟君?」
「な、何故、そのことを?」
「白瑛がよく話してくれるの、貴方の話。仲いいのね。ああ、そうだ、ごめんね。私白瑛の友達の
っていいます」
彼女は綺麗に微笑む。俺の心臓は恐ろしいほど早く動いた。 勿論彼女のことは知っている。いつも姉上と一緒にいるのを見るし、姉上がよく話題にあげるからだ。多分このような感じで、同じように彼女にも俺のことが伝わっていったのだろうと、遠くなっていく頭で思った。
「あ、姉がいつも、お世話になっています」
「そんな緊張しなくていいよ。それに私の方が世話になってるしね」
いつまでも教室の入口を塞ぐのはよくないので俺たちは廊下に出た。
「白瑛、もう少しで帰ってくると思うよ」
教室ではなくわざわざ廊下に出ようと言ってくれたところや、姉上が来るまで俺と一緒に待ってくれようとするところに、彼女の細かな気遣いが表れていた。姉上の仰っていた通りの女性だった。
「…白龍君?」
壁の側で二人並んで立っていたはずが、彼女はいつの間にか俺の正面にいて、俺を下から見上げていた。その時、初めて彼女の目を見てしまった。真っ黒な海。思ったより小さな身体。女物の香水。情けないことにフリーズしてしまう。恥ずかしくて思わず泣きそうになった。しかし、動けない俺の眼球は黒い海に光が反射するのを捉えた。彼女の身体も動かなかった。 暫くして彼女が俺の胸を軽く叩く。
「…お姉さんと顔似てるよね」
「……よく、言われます」
俺が笑うと、彼女も笑った。そのせいで黒い海は面積が狭くなった。それにさえ釘付けになる。気が付いたら俺は普段の自分からは想像できないことを口走っていた。
「あの、連絡先、教えてもらえませんか」
彼女のぽかんとした顔に少し狼狽えたが、すぐに返事が来た。
「白瑛に聞いて。私も白龍君のアドレスそうするから」
「どうしてですか」
「今聞いたら次の授業集中できないでしょ」
俺がまたフリーズするのと予鈴が鳴ったのが同時だった。
わがままな純情に爪をたてる
白龍:2013.6.8
title:√A
堅い指が頬に触れて思わず声が出た。
「…これ、美味しいね」
さっきまで料理をしていたはずの白龍の手が、冷たい。誤魔化すように笑えば、彼はなんとでもないという風にああ、と漏らす。
「白龍ってなんでも出来るもんね、羨ましい」
強い視線から逃げるために魚を丁寧にほぐす。
「本当に?」
「え?」
「本当に美味しいなんて思ってますか?」
「当たり前じゃない。嘘ついてどうするのよ」
白龍が真顔のまま首を傾げた。
「好きですか、それ」
私がほぐす魚を指差したので素直に頷く。
「好きよ。美味しい」
「…そんな風に、俺のこと思ってくれていますか」
白龍が私を見てる。見てる。言葉程柔らかくない気持ちが見え隠れして、私はゾッとする。これは決して温かくない。無防備でいられない 。本能から沸き上がる恐怖が私の心臓を少しずつ掌握していく。
「なんで、そんなこと言うの…?」
「アリババ殿と何を話していたんですか」
「別に、他愛ない話よ。今日も暑いわね、とか、訓練どう?とか」
やましいことなど本当になかった。ただくたびれている彼を見かけたから、声をかけただけ。
「他の男、見ないでください」
泣きそうな声色に思わず顔を上げると、至近距離に彼がいた。
「一番じゃなくていいんです。でもその代わりに俺だけを見て、俺の作った料理だけ食べて生きてください……俺は、」
「白龍、私は貴方が一番よ。そんな心配しないで」
「貴女が俺の料理を好きと言ってくれるだけで満足なんです。俺自身に、好きって言わないでください」
貴女にそう言われたら幸せで死んでしまう。白龍は頭を抱えた。静まり返る部屋に、料理の湯気が昇っていく。何も言えなかった。ただ、幼い彼の盲目的な執着を間近で披露されて、私は多分密かに酔っていた。ほとんど無意識に手を伸ばし、彼の額にキスをした。
「冷めちゃうから一緒に食べよう?美味しいのよ、本当に」
冷めないうちに早く。所詮思いも料理もおんなじだった。白龍が愛おしくて堪らない。放っておいて冷ます馬鹿な真似だけは絶対しない。 大きく見開かれた白龍の強い目から涙が落ちた。
墓の場所も知らない
ジャーファル:2013.4.19
「その花どうしたの」
「昨日までは綺麗に咲いてたんだけどね、朝見に行ったら枯れてたから」
「飾るんですか」
「火葬できるなら、したい。でも勝手にそんなことして大丈夫かな?」
「一日で枯れるなんて…本当に昨日までちゃんと咲いていたんですか?あと、火葬は難しいかと」
「言われてみれば、昨日だったかしら。一昨日?忘れちゃった。でもそんなことは今はどうでもいいの」
はその潤いの欠けた花を壊さないように優しく抱き締めた。
「いつか自分が何かも分からなくなる日が来るね」
私は正直、火葬などしてやれなくてもいいと思う。自分の存在を認知しているのは自分しかいなくて構わない。
ただ夜になると無性に寂しくなったり、怖くなったり、傲慢で現金な身体は温もりを求めて結局何も出来ない。
そんな時、花に花を供える馬鹿な人が、側に居たらいいのに。きっと忘れることが出来るだろうに。
「…あとで火葬してあげようか」
命の色はとうになくなってしまった。
あいくるしい
アリババ:2013.3.4
title:コペンハーゲンの庭で
「…指先から鼓動が聞こえるんだけど」
「へ!?あ、いや、その、」
「シャルの言った通りね」
「し、師匠が何か…?」
「私が初めてなんでしょ?童貞くん」
「う…」
「別にいいよ。優しくしてあげるね」
「いやいやいや!」
「嫌なの?」
「嫌ですよ!…って、
さんが嫌なわけじゃなくて、その…」
「主導権、握りたい?」
「主導権!?」
「ん…でも私痛いの嫌だな…」
「…すみません。けど、俺、やっぱり、」
「上がいいんでしょ?」
「上とか主導権とかやめてくださいよ!」
「顔赤いよ」
「…もう何でもいいから
さんください」
貪欲ね、大好き。
事後
ジャーファル:2013.2.20
「お互いまっさらのまま出会っていたらどんなだったんだろうね」
「やっと手を繋ぎはじめた頃でしょう」
「それ、ジャーファルが変態ってこと?」
「君も私も奥手だっただろう、ということです。君それでも女性ですか」
「貴方こそ、それでも男なの?素直に言えばいいのよ、夜のお誘いだって」
「引きますよ」
「嫌いになった?」
「いいえ。ですが
の思考は理解しかねます。一体どこからそんな発想が生まれてくるんだか」
「私の性欲は常に全開なの。ジャーファル限定でね」
「その言葉の使い方も、ね。大体手を握ることの何が変態なんですか?君の方がよっぽど変態ですよ」
「ああ、そうじゃなくて。まっさらのままのジャーファルが純粋なら、まっさらじゃないジャーファルは変態だって思ったの。だって、手を繋ぐこともキスすることももうとっくに済ませてるでしょ?」
「まっさらのまま大きくなっていたら、私は本能が欠落した男であったかもしれないと?」
「…これは、ジャーファルの本能?」
「これ、とは?」
「こういうことよ」
「どういうことですか」
「何で意地悪するの…」
「君こそ、急に顔を赤く染めて。今更何を恥ずかしがっているんですか」
「心は純情なの」
「おや、心は生娘なのに身体は戯れ好きなんですか。いい趣味してますね」
「…もう寝る」
「冗談だよ」
「嘘つきは嫌い」
「嘘ではないですけど」
「最低よ」
「存じています。ほら、こっち向いてください。せっかく一緒に寝るのに」
「ジャーファルが服着たらいいよ」
「じゃあ、下だけ履きますね」
「変態」
「もう一回、欲しい?」
「…分かったジャーファルの方向くから!変な声出さないで!えっち!」
「勝手な人だ」
「おやすみ!」
「はい、おやすみなさい」