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手を握ると握り返してくれる。顔を近付けると目を瞑ってくれる。抱き締めると肩に顔を埋めてくれる。 全てにおいて順序良く完璧にこなしてきたわけじゃない。それでも恐らくは人並みに、二人で二人の幸せを享受してきた。言い訳をするなら、その延長が今で、子供じゃないおいら達は大人でもなくて、だけど身体だけは中途半端に大人だったから、そういうものだと信じて、いざ始めたらぐずぐずして、強行もできず、綺麗な終わりも迎えられず、でも一応形だけの最後だけは連れてきて、おいらは彼女の頭を撫でた。どうにか後片付けをして、彼女の着替えを手伝ってやろうとしたけど追い出されたので、おいらは一人寂しくキッチンで飲み物の準備をする。未だに身体が火照るから、二人とも氷入りのリンゴジュースだ。 「、入ってもいい?」 ここはおいらの家なのだけれど、ドアの向こうで彼女が着替えているから一応声をかける。少し涙が混じった声でどうぞと返され、おいらはそっとドアを開けた。着替えのTシャツとハーフパンツを着たがベッドに横になっている。おいらはおぼんを机に置いて、コップを彼女に差し出した。 「…こういうのの後は、水を出すって決まっているのよ」 「え!」 おいらは愕然とする。彼女の初めての男はおいらじゃなかったのか。おいらの前に付き合った人がいるのか。 「冗談よ…ジュースありがとう」 「そうだよね…良かった」 「信じたの?何もかも初めてだって言ったのに」 「そうだったね…うん、おいらも全部、が初めてだよ。でも、事後には水を出すもんなのか、知らなかった」 「だから冗談よあれは。物語では見かけるけどね。それに私は水よりジュースの方が嬉しいからいいの」 腰を労わりながらゆっくりと起き上がりベッドの上に座ると、ジュースを少しずつ、でも全部飲み干した。おいらは空のコップを受け取っておぼんの上に置くと、ベッドを軋ませながら彼女の元へ行きそのまま抱き締めた。 「ルー君、ジュースは?」 「ちょっと飲んだよ。今はいい」 「あんまりぎゅってしないでね。痛いから…」 「うん…ごめんね」 頑張ってくれた彼女の腰を優しく撫でる。彼女が愛おしくて堪らなくてどうにかなってしまいそうだった。陽が傾いて綺麗な空の下、それなのにカーテンで隠して見えなくして、愛し合うおいらと。何だか悪いことをしているみたいで最中は本当に興奮した。追い打ちをかけたのは、確実にだったけど。おいらの下で、おいらのベッドで、おいらだけにしか見せない顔をする彼女は本当に最高で、気が狂った。思い出すとまた彼女を頑張らせないといけなくなりそうだから理性を総動員させて記憶に蓋をする。勿論、後からいくらでも開けられるようにして。 「…あれ、」 「うん、ブラしてない」 「何で!?」 「え、だって、まだ熱いし」 おいらの理性はどこかにすっ飛んでしまう。頭を抱えるしかなかった。
大人しく騙されていて
title:spiritus 過去拍手御礼(2015.9.25-2015.11.21) |