覆い隠されるべき


「貴方が女好きなのは付き合う前から知っていたわ。未だに女のお尻を付け回す節操のない男だってこともね」
「馬鹿、お前、俺はお前一筋だよ」
「そう言いながら他の女見るのやめてくれる」


は溜息を吐いてパスタを手に取る。


「あのな、可愛い女の子には、可愛いって言ってやるのが礼儀なんだよ」
「へえ。じゃあいつも貴方に可愛くないだのクソ真面目だの言われる私って、ロヴィーノにとって何なの」
「あ、いや…お前そのパスタは駄目だ隣のにしろ」
「話変えないで」


言いつつも彼女は俺の指定したパスタの袋を二つかごに入れる。俺は彼女の後を歩きながら、確かにに、他の女の子にかけるような優しい言葉などほとんどかけたことがないと思った。俺はそこでふと疑問に思って、レジに向かう彼女に訊いた。


「おい」
「何」
「お前、俺のどこが好きなんだ?」


するとぎょっとした顔のが俺を睨み付けた。


「それ、そのまま返してあげる」
「あ?」
「ロヴィーノって、私のどこが好きなの?どう考えても私、貴方のタイプじゃないし」
「あ、あー……何だろうな…分かんねえよこのやろー取り敢えず好きなことだけは本当だぞ」
「…可愛くない子が好みだったなんて初めて知った」


会計を済ませて、軽い荷物を持ってはずんずん歩いて行ってしまう。俺は慌てて走って彼女に追い付いた。


「可愛くないイコールブスとは違うだろ?お前は可愛いというよりは綺麗なんだよ」
「それ、今までに何回、何人の女に言ってきた?」
「今が初めてだっつの」
「…そう」


車の後部座席に荷物を置いて当たり前のように助手席に座るの顔を、俺は隣から覗き込む。


「ね、ちょっとドライブしようよ」


お気に入りのCDをかけて楽しそうにしている姿はちょっと可愛い。俺は慣れない日本の車を運転しながら、本当に好きになった女の子はどうしてこんなに面倒くさいのに愛おしいのか考えていた。