パステルカラー
magi:白龍 2014.1.26 *R-15
「…そうやって身体を重ねることに、何の意味があるんだ」
「これはこれは、白龍皇子、こんばんは」
彼女は髪の毛を纏めながら俺を見て笑い、軽く会釈する。
「俺の質問に答えろ」
「意味?性欲に、意味なんてございませんよ」
彼女がまた笑う。俺は舌打ちして金属器を握ると、僅かに目を大きくしたが滑らかに呟く。
「こんな時間まで鍛練を重ねていらっしゃったんですか」
「当たり前だ。俺はお前みたいに淫らではない」
「あら、酷い。貴方様が皇子でなかったら今ここで張り倒していました」
「無礼だ。自分の立場をわきまえろ。お前のその女官職だって、俺はいつでも奪うことができるんだ」
「構いませんよ。勤めるところが変わるだけで、仕事はそれほど変わりません」
彼女は以前遊女だった。彼女自身はそれなりの身分の出らしいのだが、彼女の村ではさほど地位はなく、庶民が通うにはかなり贅沢なところで、彼女よりも上の身分の男達の前で股を開いていた。それを紅炎が拾ってきた。
彼女が、夜伽以上に身の回りのことができたからだった。
「…俺は、お前は紅炎の相手として拾われたのだと思っていた」
「ふふ、私もですよ。まさか私のような庶民を、あの紅炎様がただの女官として置いて下さるなんて」
「本当にそうなのか?本当にお前はそんなことをされていないのか?」
「ええ、紅炎様は、いつまで経っても私を抱いて下さいません。だからこうやって他の殿方の寝所へ毎夜向かうのですよ。私にとっては習慣ですから、やらなければ可笑しくなってしまう。腹の中の女の臓器がね、疼くんです」
「……」
「白龍皇子には少々生々しいお話でしたね」
悪夢を見ているようだった。の細い指が俺のうなじから顎のラインをなぞり、俺は悪寒に身体を震わせる。厭らしい笑みで、が声を漏らす。
「私を抱きたいと思われましたね?」
「何を、」
「存じ上げております、私。貴方様はいつも私をご覧になっている。私が紅玉姫とお話している時も、洗濯している時も、こうやって、深夜殿方の寝所を出る時も、苦々しい少年のお顔で、ご覧になっている」
「…貴様、」
「少年、という言葉に、意義を申し立てるのなら、その代わりに私を抱いて証明して下さいませ。貴方様が、殿方であられることを。私はいつでもお待ちしております」
「…俺は、お前をそんな風に、」
「白龍皇子」
が服の前をはだけさせる。胸の膨らみが陰影を大きく作り出して、俺を見据える。俺は視線を逸らしたが、逸る心臓はただの雄だった。
「私の女の臓器に、貴方様を下さい」
ゆるやかに落ちる月は今日はいなかった。影のように自分の寝所へを連れ込んだ俺は、金属器を床に音を立てずに置いた。当たり前のようにを寝台へ押し倒すと、熟練の業かなんだか知らないが、彼女は見事な生娘を創り上げる。そんなの服を脱がせながら、俺は彼女欲しさに唇を噛んだ。身体だけでもいいんだ。