一目見た感想は、えろい、だった。スカートを翻してある意味お決まりのセリフを言った
は、数か月前と何も変わっていないはずなのにとても大人びて見える。
「ルー君」
「えろいよ」
「え、何が?」
「スカートとか、ブラウスとか」
「学校でシたいの?」
おいらは頭を鈍器で殴られたような衝撃にどうにか耐える。正直まさかの発言だった。
はそんなおいらに気付いていないのかスカートの裾をつまんで私服と何が違うのかしらと呟いた。
「あのねえ、したいかしたくないかと聞かれれば、したいんだよ」
「素直で良いわね。でもちゃんと人の居ないところで、ちゃんと処理までしてくれないと嫌よ」
「するよ。どんなに興奮しても
を蔑ろにしたりしないんだよ」
「本当かしら」
自分で言っておきながらも
の真っ直ぐな視線に射抜かれるとどうも肯定できない。おいらは曖昧に苦笑いでその場をやり過ごそうとするが、彼女は逃がしてくれなかった。おもむろにおいらの胸に擦り寄って艶やかな顔をする。
のせいで激しくなった動悸に命を奪われると思った。呼吸をしたいのに空気が動いていかない。
「…大丈夫?」
「……だ、い、じょうぶ…だけど」
は狡い。キスをしたわけでもないのに酸欠な頭でそう告げれば、彼女は目を丸くした。その表情が少しだけ幼くて酷く安心する。同じ年なのに、どうしておいらと彼女は違うんだろうか。どうしていつもおいらを置いて行くのだろう。日に日に綺麗になっていく
の隣でおいらは常々考えていた。
「狡いのは、きっとお互い様よ」
「おいらは狡くないもん」
「でも、私達両方初めてだから、ハジメテは学校じゃなくてちゃんとしたところがいいわ」
「ん…そうだね。どこがいい?おいらの家でする?」
「二人きりになれる?」
「なれないことはないよ」
「じゃあ、それがいい」
詳しいことはまた後で決めることにして、暗くなる前にと、おいら達は家路を急いだ。付き合っているのに、おいら達はまともに手を繋いだこともない。それなのに一気にえっちの予定なんか立ててしまって、おいら達は正しいのか。ちゃんと彼女を大事に出来ているのか。女々しくも不安になって、平静を装いつつ隣の彼女に手を伸ばす。彼女は話しながら前を向いていて、影もおいら達の後ろを着いてきている。眩しいね、なんて目の上に傘を作る
の小さな手はおいらとは反対側のそれで、絶好のチャンスだった。また命の危機を感じるかもしれない恐怖を捻じ伏せ、おいらは伸ばした先の彼女の手を掴んだ。
顔を夕陽色に染めた
が、先程とは打って変わって余裕のないことが分かる。おいらは今にも逃げ出しそうな彼女を離すまいと必死になっていた。
「私、狡くないわ。狡いのは、ルー君よ」
家まで送り届けた時に、彼女が下を向いたまま恥ずかしそうに言った。同じ年なのに、どうしておいらと彼女は違うんだろうか。どうしていつもおいらを置いて行くのだろう。日に日に綺麗になっていく
の隣でおいらは常々考えていた。それが今、分かった気がする。
好きってこういうことなんだと、彼女の羞恥がおいらにまで伝わって死んでしまいそうだった。
おちる前に仕留めて
title:odoro
過去拍手御礼(2015.3.25-2015.5.29)