目が覚めたら
卑猥な水温と共に形の良い唇から指が離れていく。途端に外気によって冷えていく皮膚は紛れもなく私のもので、半分違う世界にいるかのような視線を寄越してぼんやりしているアーサーの唾液で濡れているのも、やっぱり私の指だった。 状況の把握はできている。アーサーは多分酔っているだけだ。久しぶりに皆で集まって、素直じゃない彼も珍しく喜んで、いつも以上に羽目を外しただけなのだ。服を脱がなかっただけましなのだ。 乱れたスーツから見える素肌があまりにも男の人で、私は直視すらままならない。今自分が良い表情をしていないのは分かるけど、それをどう捉えたのかアーサーは私の顔を見ては一人でにやけている。アルコールのせいで赤く染まった頬が本当にやらしい。もし嫌そうな私の表情に興奮しているのなら、とんだ性癖だと思う。「アーサー」私の精一杯の声も届かない。アーサーは私の唇を塞ぐと、またやらしい笑みを顔面一杯に貼り付ける。

「好きだ、
「…ここまでしておいて、好きじゃないなんて言ったら打ってた…」

正真正銘の気持ちはこんな風にして伝えられるものなのか。伝えていいものなのか。何もかも分からなくなってきて、私の中のアルコールも私の脳に侵入して、染み渡る。夢であって欲しい。






目が覚めたら
2014.9.2
過去拍手御礼(2014.2.18-2014.9.2)