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「お前はどう思う?」 「何が」 「いや、この本のことだけどよ」 ギルの手には分厚い本。本よりブックカバーの方が高そうだけど、彼にとっては酷く貴重なものらしい。 「それまだ読んだことないわ」 「読みたいか」 「うん」 「ほら、」 「いい、図書館で借りる。そのカバー壊しそうだし」 時計を見るとまもなく閉館の時間で、私はだらだらと筆記用具をバッグへしまう。その間にギルはさっさと自分の荷物を片付けて出入口の方へ歩いていった。付き合い始めた当初はなんで女も待てないんだと軽く言い争いになったけど、今は逆に彼に優しく待たれることを想像するだけで気味が悪くなる。随分私も図太くなったと思う。 気持ち足早に出口を通って彼の隣に並んだ頃には、建物の灯りが全て消されていた。 「明日図書館に行きたい」 「車出せって言いてぇのか?」 「そうよ」 「明日は忙しいんだがな、俺様は優しいから出してやるよ」 「嘘、暇人のくせに」 「俺様超優しすぎるぜ!」 「どうせあれでしょ、ルート君の作ったクーヘン食べる仕事とかでしょ」 「なんか突っ込めよ」 ギルが車のキーを開けて、私は静かに助手席に滑り込む。ルート君が普段から念入りに手入れしているらしいこの車は確かに汚れ一つなく綺麗だ。ギルだけのものならともかく、弟君のためにも私は車内では最大限の注意を払って過ごす。 「お前、今日はうち泊まってけよ」 「そうする」 「マジか」 「何よ」 「今日、ルッツが家に居ねぇんだ」 「そう。会いたかったけどしょうがないわね」 「うおお…!?」 「だから何なのよ」 「ちょ、俺は夜のことも考えて言ってるんだぜ」 車のエンジンも掛けず車内で駄弁る私達は端から見たらどうなんだろう。もうすぐ駐車場も閉まるわよ。視線を横へずらすとギルと目が合ってすぐに逸らされた。 「ギルの魂胆なんて最初からバレバレよ」 「だからってそんな簡単にいいのかよ」 「何それ。別に悪いことしてるわけじゃないじゃない。ギル女子みたいよ」 「…、もしかしてお前、俺以外の奴にも簡単に股開いてんのか?」 「最低なこと言ってんじゃないわよ」 ペチンと彼の太ももを叩くと意外と大きな音が出た。何だか別の変わった趣向を持った人みたいでちょっと不快になる。 「地味にヒリヒリする…」 「ほら早く車出さないと警備員か誰かに不信がられるわ」 「車内でヤってんじゃないかってか」 「やっぱり今日ギルの家行かない」 「」 一度したシートベルトを外して私の後頭部を掴んだギルがゆっくり目を閉じる。腹が立つくらい良い顔をした彼に思わずドキリとした。 そのまま引き寄せられて、悔しいので唇がぶつかる瞬間歯を立ててやった。
休日
2013.12.4
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